第25回 日本外科感染症学会 総会学術集会

ご挨拶

第25回日本外科感染症学会総会学術集会開催にあたって

第25回日本外科感染症学会総会学術集会を千葉市で開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。

私は千葉大学医学部を卒業後、千葉大学第二外科(現先端応用外科)に入局し外科医としての修練を積みました。当時は術後感染症や縫合不全などから重症化する患者が多く、自ずと外科感染症と術後全身管理に興味を持つようになりました。外科を8年経験してアメリカへ2年間留学し、帰国後は入局以来診療・研究の指導を受けていた平澤博之先生(現千葉大学名誉教授)のもと救急部・集中治療部で勤務することになりました。ICUでは救命救急医療とともに術後合併症の患者管理にも従事しましたが、特に術後感染症から多臓器不全に陥るときわめて転帰不良であったことから、敗血症性多臓器不全を研究テーマに選びました。

私が本学会と関わりを持ったのは、1989年の名古屋での第2回外科感染症研究会からで、1990年の『日本外科感染症研究』2巻に「敗血症性多臓器不全症例における循環管理と組織酸素代謝」という論文を発表しています。以来、自分の研究成果を発表して諸先輩から御指導を仰ぐとともに、術後感染症や院内感染対策について多くのことを本学会で学びました。特に当時は術後MRSA感染症が大きな問題となっており、本学会で学んだ知識がその後のICD取得やICUでの院内感染対策に大変役立ちました。

本学会が研究会から学会へ発展し、わが国における外科感染症研究の中心となる過程は、まさに私自身の成長と重なります。そのような思い入れの深い学会の会長を仰せつかり、大変光栄に思うとともに、少しでも本学会の発展に寄与できればと考えております。そういうこともあり、今回の学術集会のテーマを「外科感染症研究の四半世紀-過去、現在、未来」と致しました。25周年企画として炭山理事長を中心に鼎談を企画致しました。また招請講演としてSIS-NA会長と、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学Critical CareのJames A. Russell教授をお招きする予定です。シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップでは、従来のSSIや術後感染対策等に加え、私がライフワークとしている敗血症に関するセッションを企画致します。またもう一つの主題として、昨今問題となっている多剤耐性菌対策を取り上げる予定で、これはICDセミナーでも企画する予定です。

本学会の千葉での開催は、平成6年に平澤博之先生が第7回日本外科感染症研究会を主催されて以来となります。幕張メッセ周辺は近年人口も増えてにぎやかになり、千葉市の新都心としてさらに発展しつつあります。海岸線や公園など自然もいっぱいです。学術集会の合間にはぜひ付近を散策してリフレッシュしていただければと思います。

本学術集会が実り多い会になるように、皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。

第25回日本外科感染症学会総会学術集会会長
千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学
織田 成人

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