大会長挨拶

“健康長寿社会の成立に果たす歯の保存治療の意義”

日本歯科保存学会2012年度秋季学術大会(第137回)大会長
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 歯周病態学研究室
栗原 英見

超高齢社会をどのような社会にしていくのかが大きな課題ですが、精神的にも身体的にも健康な高齢者が活き活きと暮らしている社会、“健康長寿社会”の実現こそが国民に大きな希望を与えると考えます。近年、歯周病を中心に口腔疾患と全身疾患との関連の研究が進展し、口腔の健康が全身の健康維持増進に重要であることが解明されてきています。すなわち、歯を健康な状態で保存することの重要性が改めて認識されているところです。本大会では、“健康長寿社会の成立に果たす歯の保存治療の意義”をテーマに、歯科保存学の現状と課題を認識し次の歯科保存治療の進むべき方向を皆様と一緒に考えたいと思います。シンポジウムでは、(1) 「歯周病と全身疾患の関わり」の最新情報を、(2) 今後の課題である「検査から新しい保存治療を展望する」、(3) 進展著しい「最新歯内療法の流れ」、そして、(4) 少し幅を拡げて今後の「高齢者医療における歯科医師の役割」とは何かを取り上げました。また、特別講演ではミシガン大学のHom-Lay Wang教授に歯の保存、口腔の機能維持に重要な骨増生について、”The Art and Science of Bone Augmentation” と題して最新の知見・技術を紹介して頂きます。

本大会は第14回日韓歯科保存学会学術大会を兼ねております。韓国からの招待講演、日韓研究者による英語発表セッションを企画しております。日本歯科保存学会の国際化推進の一助と日本の若手研究者の修練の場の一つになることを期待しております。

“安芸の国”広島は2つの世界遺産のある美しい街です。広島で開催される本学術大会に多くの皆様が参加されますことを心からお待ちしております。